Xiaomiは2024年8月に小売り販売台数において世界第2位になりました。これは、2021年8月以来のことで、同社の販売台数は前月と同程度であったものの、Appleの台数は季節要因で減少したため、この結果になりました。暫定数値ではありますが、以上の調査結果を含むSmartphone 360 Monthly Trackerを、カウンターポイント・リサーチ・エイチ・ケー(英文名:Counterpoint Research HK、以下カウンターポイント社)が発表いたしました。Xiaomiは2024年に最も速く成長しているメーカーのひとつで、世界の市場回復に貢献しています。
出典: Market Pulse Early Look – OEM Sales, August 2024
8月は、Xiaomiが市場を上回る業績をあげた月となりました。主要市場の景気が季節要因で下がるなか、同社は中南米で販売プロモーションを仕掛けて成長し、季節要因による減少を相殺しました。2022年に部品供給網で苦戦したXiaomiは、その後も2023年には他社同様にマクロ経済と地政学の逆風に見舞われました。しかし、2022年と2023年上半期の低迷を経て、Xiaomiは商品と販売チャンネル戦略を変更し、今やその成果を刈り取る段階にあります。同社は前年比で大きく成長し、ほぼ毎月のように前年同月比成長を記録しています。
Xiaomiの事業戦略について、リサーチディレクターのTarun Pathak氏は次のようにコメントしています。
「Xiaomiは、商品ポートフォリオをスリム化する戦略を、今年は採っている。これまでのように、価格帯それぞれに複数の機種を出すのではなく、各価格帯で、強い商品一機種に絞って投入するようになった。加えて、セールスマーケティング重視を復活させるとともに、新市場への展開と、既存市場での整理統合も進めている。もともとエントリーモデルから中位価格帯で強かったが、それを維持しながら、折り畳み型のultraシリーズで高級機セグメントへの足掛かりも作った。」
Xiaomiが事業を展開する主な市場ではここ数四半期にわたって経済が回復基調で、そのことが低価格帯での需要回復に大きく効いています。Xiaomiは、その低価格帯、つまり200米ドル(約2.9万円)未満の価格帯で特に強く、価格競争力のある5G機種であるRedmi 13とNote 13シリーズによって、それがさらに強化されました。Redmiシリーズは極めて人気が高く、インド、中南米、東南アジア、中東・アフリカといった同社の主要市場でのシェア獲得の原動力となっています。
Xiaomiが8月の第2位を獲得したのはこのところの急成長に負うところが大きいですが、Appleが季節要因で低迷していたことも忘れてはなりません。新型iPhoneは通常9月に発売されるので、8月はAppleにとって一年の中でもっとも低調な一か月になりがちです。iPhone 16シリーズが発売されればAppleが再び第2位に返り咲くとみられますし、販売が今後立ち上がってくれば第1位さえも視野に入るでしょう。
Xiaomiが第2位を獲得したことは、世界のスマートフォン市場のトレンドを象徴している、と言えます。技術や価格の面での各社の端末の差が縮まり、主要メーカー間の競争はこれまでになく激しくなっています。形状の新しさ(折り畳み型)や生成AIが各社の差別化ポイントになるなかで、端末のエコシステム、プロダクトデザイン、マーケティング戦略、研究開発が、これまで以上に重要になっていることを、Xiaomiの最近の躍進が示しています。
【カウンターポイント社概要】
カウンターポイント社(英文名Counterpoint Research HK)はTMT(テクノロジー・メディア・通信)業界に特化した国際的な調査会社である。主要なテクノロジー企業や金融系の会社に、月報、個別プロジェクト、およびモバイルとハイテク市場についての詳細な分析を提供している。主なアナリストは業界のエキスパートで、平均13年以上の経験をハイテク業界で積んでいる。
公式ウェブサイト: https://www.counterpointresearch.com/